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最終更新日:2026-10-02/料金・制度の確認日:2026-09-30
「帳簿 付け方」で調べると、出てくる記事の多くは個人事業主が前提です。勘定科目の一覧や損益計算書につながる帳簿の説明が並び、会社員の小さな副業ではどこまでやればいいのかが見えにくくなっています。
そこで国税庁の説明を読み直し、会社員の小さな副業で最初に決めることを6つの疑問に分けて整理しました。本記事で分かるのは、立場ごとに国税庁が示している記録と保存の内容、最小の記録項目と記入例、月1回の記録の流れと照合のしかた、作業時間の見積もり方、道具の選び方、青色申告の帳簿要件の概要です。
結論を先に書くと、最初から立派な帳簿を目指すより、日付・相手先・内容・金額・証拠の置き場所の5つを月1回そろえることから始めるのが続けやすい、というのが私の整理です。
目次
- Q1. 会社員の副業でも記録は要る?(立場ごとの国税庁の説明)
- Q2. 書類は何を、どこに残す?
- Q3. 最低限どの項目を記録する?(記入例つき)
- Q4. 毎月どんな順番で、どのくらい時間がかかる?
- Q5. 記録の道具は何を使う?
- Q6. 青色申告の帳簿は何が違う?(令和9年分以後の見直しも)
- この記録の仕方が合う人/合わない人
- まとめ
- FAQ
1. Q1. 会社員の副業でも記録は要る?(立場ごとの国税庁の説明)
副業の収入がどの所得に当たるかで、記録や保存の内容が変わります。ただし、所得の区分は本記事では判定しません。
国税庁の所得税基本通達35-2の注書きには、事業所得かどうかは、その活動が社会通念上事業と称するに至る程度で行われているかで判定すること、また、取引を記録した帳簿書類の保存がない場合は(収入金額が300万円を超え、かつ事業所得と認められる事実がある場合を除き)業務に係る雑所得に該当することに留意する、という趣旨が書かれています(確認日 2026-09-30)。自分がどちらに当たるかは、この通達とタックスアンサー No.1500 で確認してください。
記録・保存の内容は次のとおりです。
| 立場 | 国税庁の説明の主な内容 | 確認先(2026-09-30) |
|---|---|---|
| 業務に係る雑所得がある人 | 記帳制度の対象ではない。前々年分の収入金額が300万円超なら現金預金取引等関係書類を5年間保存(令和4年分以後)。1,000万円超なら収支内訳書などの添付が必要 | No.1500・No.2080 |
| 白色申告の人(不動産・事業・山林所得がある人) | 取引の年月日・相手方の名称・金額を記録(日々の合計だけをまとめる簡易な方法も可)。収入や必要経費を記載した帳簿は7年、それ以外の帳簿や請求書・領収書などは5年保存 | No.2080 |
| 青色申告の人(不動産・事業・山林所得がある人) | 原則は損益計算書と貸借対照表を作れる形の帳簿。現金出納帳・経費帳などの簡易な帳簿も可。帳簿書類は原則7年保存 | No.2070 |
どの行が当てはまるかは、確認先で要件を読んでください。3章の「最小の記録項目」はどの立場でも土台になりそうな部分を抜き出したもので、青色申告の帳簿要件を満たす形式ではありません。
上位の記事は事業として届け出ている人向けが中心で、雑所得として扱われる場合の記録や、毎月の作業時間の見積もり方はほとんど見当たりませんでした。本記事はその部分を中心に整理しています。
2. Q2. 書類は何を、どこに残す?
No.1500 で書類の保存が必要とされているのは、前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える人で、対象は請求書や領収書など、現金の受け取り・支払いや預金の出し入れのときに作られた書類です。
それより小さい規模の扱いは国税庁の説明で確認するとして、本記事では「申告した数字の根拠を、あとから自分で説明できる状態にしておく」という考え方で整理しました。通達の注書きも、帳簿書類の保存の有無に触れています。
月ごとのフォルダに入れるのは、次の3種類です。
- 入金の根拠:報酬の支払通知、販売サイトの売上明細
- 支払いの根拠:領収書、ネット通販の購入履歴を保存したもの
- お金の動きの根拠:副業用口座の入出金明細、副業用カードの利用明細
置き場所の例です。年ごとのフォルダの下に月のフォルダを作り、ファイル名を「日付_相手先_金額」にそろえると、3章の表の「証拠の置き場所」にそのまま書けます。
| フォルダ | 入れるもの | ファイル名の例 |
|---|---|---|
| 副業記録/2026/10 | その月の明細・支払通知・領収書のデータ | 20261012_相手先_1650.pdf |
| 副業記録/2026 | 1年分の記録の表(3章) | 記録_2026.xlsx |
| 紙の封筒(月ごと) | 紙で受け取ったレシートの原本 | 表のメモ欄に「紙・10月封筒」と書く |
紙とデータの残し方の詳細はレシートの保管ルーチンと電子帳簿保存法の基本で整理しています。
3. Q3. 最低限どの項目を記録する?(記入例つき)
No.2080 で記録の内容として挙げられている「取引の年月日・相手方の名称・金額」を軸に、見返すときに困りそうな項目を足して8項目にしました。
| 項目 | 記入のしかた | 拾い先 |
|---|---|---|
| 日付 | 入金日・支払日 | 口座・カードの明細 |
| 相手先 | 支払元のサービス名、購入先 | 明細・支払通知 |
| 内容 | 「◯月分の報酬」「副業用の書籍」 | 支払通知・購入履歴 |
| 入金額 | 受け取った金額 | 口座の明細 |
| 支払額 | 払った金額 | カード・口座の明細 |
| 支払い手段 | 副業用口座/副業用カード/現金/生活側 | 自分のメモ |
| 証拠の置き場所 | 月フォルダ内のファイル名 | 保存したファイル |
| メモ | 生活と共用しているものの使い方 | 自分のメモ |
記入例(仮の数字です。実際の取引ではありません):入金2件・支払い2件の月
| 日付 | 相手先 | 内容 | 入金額 | 支払額 | 支払い手段 | 証拠の置き場所 | メモ |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 10/5 | 支払元A | 8月分の報酬 | 3,000 | 副業用口座 | 20261005_支払元A_3000.pdf | ||
| 10/12 | ドメイン会社 | ドメインの更新 | 1,650 | 副業用カード | 20261012_ドメイン会社_1650.pdf | ||
| 10/20 | 書店 | 副業用の書籍 | 1,980 | 副業用カード | 20261020_書店_1980.pdf | ||
| 10/25 | 支払元B | 9月分の報酬 | 1,200 | 副業用口座 | 20261025_支払元B_1200.pdf | ||
| 合計 | 4,200 | 3,630 |
日付・相手先・内容・金額・証拠の置き場所がそろえば、月の合計は出せます。口座とカードを分けると、支払い手段の列はほぼ不要になり、拾う明細も2本に減ります。分け方は副業の口座とクレジットカードを分ける手順にまとめました。
4. Q4. 毎月どんな順番で、どのくらい時間がかかる?
毎日は続かない前提の、月1回の流れです。
- 月初に、前月分の副業用口座とカードの明細をファイルで保存する
- 明細の副業分の行を、3章の表に写す
- 各行の根拠の書類を月フォルダに入れ、ファイル名を「証拠の置き場所」に書く
- 入金額と支払額の月合計を出し、明細の合計と合っているかを確かめる
- 生活と共用しているものがあれば、メモ欄に使い方を書く
4の照合の例(3章の記入例の場合)
- 入金:副業用口座の明細で、10月の入金は 3,000円+1,200円=4,200円。表の入金額の合計 4,200円と一致
- 支払い:副業用カードの10月分の明細の副業分は 1,650円+1,980円=3,630円。表の支払額の合計 3,630円と一致
合わないときは、生活側への振替を入金や支払いとして写したか、旧口座の入金を拾い忘れたかが考えられます。振替は表に入れず、別のメモに残します。
作業時間の見積もり方
作業時間は、取引の件数でおおよそ決まります。次の式で見積もり、最初の月に実際の時間を測って直します。
1か月の作業時間の目安 = 毎月決まってかかる時間(明細の保存・照合)+ 取引件数 × 1件を写す時間
計算例(仮の数字):決まってかかる時間が15分、1件を写す時間が2分、取引が月10件なら、15分+10件×2分=35分です。1件を写す時間は、最初の月に5件ほど写して測った時間を5で割ると出せます。
時期によって作業が増えます。月ごとの目安です。
| 時期 | この時期にやる作業 | 確認すること |
|---|---|---|
| 記録を始める月 | 表を作る、過去の明細から副業分を拾い直す、フォルダを作る | 拾い直す期間を決める(例:その年の1月から) |
| 2か月目以降 | 上の流れ(1〜5)をそのまま回す | 使わない項目がないか、1件を写す時間 |
| 12月 | 1年分の合計を出し、抜けている月がないかを確かめる | 12か月分のフォルダと表の行がそろっているか |
| 翌年1〜2月 | 申告の前に、1年分の記録と書類がそろっているかを確かめる | 申告に使う合計と、明細の合計が合っているか |
記録を始める月は準備が重なるので、平常時の負担は2か月目以降で見ます。
5. Q5. 記録の道具は何を使う?
置き場所は大きく3つです。特定の道具は推さず、料金は公式ページで確認する前提です。
| 道具 | 向いている場面 | 気をつける点 |
|---|---|---|
| 表計算のシート | 取引が少なく、3章の項目をそのまま列にしたい | 合計の式やシートを自分で管理する |
| 家計簿アプリ | 生活の家計簿と同じ場所で副業分も見たい | 副業分を分けて集計できるか、明細を書き出せるか |
| 帳簿づけの機能がある確定申告ソフト | 取引が多い、明細を取り込みたい | 料金プランと、自分の申告の形への対応 |
選ぶときは、4章の式で出した作業時間が目安になります。取引が月に数件なら、表計算のシートで写す時間はわずかです。件数が増えて「件数×1件を写す時間」が大きくなってきたら、明細を取り込める道具を検討する、という順番で考えられます。
国税庁の作成コーナーは無料で使える申告用のツールですが、帳簿をつける機能はありません(確認日 2026-09-30)。1年分の合計は、自分の記録から出すことになります。使い方は国税庁の作成コーナーの使い方、ソフトの比べ方は必要な機能と2年目費用をそろえる比較シートにまとめています。
6. Q6. 青色申告の帳簿は何が違う?(令和9年分以後の見直しも)
青色申告は、不動産所得・事業所得・山林所得がある人が対象の制度です。承認申請の期限は、原則として青色申告をしたい年の3月15日まで、その年の1月16日以後に新しく業務を始めた場合は業務を開始した日から2か月以内とされています(No.2070、確認日 2026-10-02)。
帳簿は、原則として損益計算書と貸借対照表を作れる形のものが求められ(No.2070)、3章の最小の記録項目では足りません。令和8年分の青色申告特別控除(55万円・65万円・10万円)の要件と、令和9年分以後の見直し(財務省 令和8年度税制改正の大綱)は、青色申告65万円控除の要件にまとめています。
この章は青色申告を勧めるものではありません。
7. この記録の仕方が合う人/合わない人
合う人
- 会社員のまま小さな副業をしていて、取引が月に数件から数十件の人
- 毎日の記録は続かず、月1回まとめて片付けたい人
合わない人
- 青色申告をしていて、損益計算書と貸借対照表まで作る帳簿が必要な人(最小の記録項目では足りない)
- 取引が多く、手で写す時間が負担になる人(4章の式で見積もった時間が長い人)
8. まとめ
会社員の小さな副業の記録は、日付・相手先・内容・金額・証拠の置き場所の5つを月1回そろえるところから始められる、というのが私の整理です。毎月の照合は、表の合計と明細の合計を見比べるだけで済みます。作業時間は「決まってかかる時間+件数×1件を写す時間」で見積もれます。所得の区分や書類保存の義務に当たるかは、国税庁の No.1500・No.2080 と通達で確認してください。
下準備として副業の口座とクレジットカードを分ける手順を先に済ませると、拾う明細が2本に減ります。申告の段取りは会社員の副業の確定申告のやり方にまとめています。
まずは先月分の明細を出して、最初の5項目を埋めてみるところからで十分です。
9. FAQ
Q. 副業の記録は毎日つけないといけませんか?
A. No.2080 では、日々の合計金額だけをまとめて記載するなどの簡易な方法も認められていると説明されています。本記事では続けやすさを優先して月1回にしています。自分が対象になるかは同ページで確認してください。
Q. 副業の収入は事業所得と雑所得のどちらになりますか?
A. 本記事では判定しません。所得税基本通達35-2の注書きに判定の考え方が、No.1500 に業務に係る雑所得の説明があります。個別の判断が必要な場合は、専門家に相談してください。
Q. 領収書はどれくらいの期間取っておけばいいですか?
A. 白色申告の対象になる人の保存期間は No.2080(1章の表)に、青色申告の場合は No.2070 に示されています。自分がどれに当たるかは各ページで確認してください。
Q. 表計算のシートで記録しても問題ありませんか?
A. No.2080 で記録の内容として示されているのは、取引の年月日・相手方の名称・金額などです。道具より、その内容を月ごとにそろえられるかで考えると整理しやすいと考えています。青色申告の帳簿要件などを満たすかは、国税庁の説明で確認してください。
Q. 途中の月から記録を始めても大丈夫ですか?
A. 1年分の合計を出すには、その年の1月からの取引が必要になります。途中から始める場合は、記録を始める月に、口座とカードの明細からその年の1月以降の副業分を拾い直しておくと、12月の作業が軽くなります(4章の表)。
本記事は制度の一般的な説明です。個別のご判断は税理士へご相談ください。
出典一覧(確認日つき)
| 内容 | 出典名 | URL | 確認日 |
|---|---|---|---|
| 業務に係る雑所得の書類保存と添付 | 国税庁 No.1500 雑所得 | https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1500.htm | 2026-09-30 |
| 事業所得と業務に係る雑所得の判定の考え方 | 国税庁 所得税基本通達35-2(改正解説) | https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/kaisei/221007/pdf/02.pdf | 2026-09-30 |
| 白色申告の記録の内容と保存期間 | 国税庁 No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度 | https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2080.htm | 2026-10-02 |
| 青色申告の対象・帳簿・保存期間・申請期限 | 国税庁 No.2070 青色申告制度 | https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm | 2026-10-02 |
| 令和9年分以後の青色申告特別控除の見直し | 財務省 令和8年度税制改正の大綱 | https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/08taikou_01.htm | 2026-09-30 |
| 作成コーナーに帳簿機能はない | 国税庁 確定申告書等作成コーナー | https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top | 2026-09-30 |
著者:節約と効率の研究員 | 会社員(業界非公開)。生活まわりの固定費と手間を、調べて整理して記録しています。本記事は広告(アフィリエイトリンク)を含みます。

